パレートの法則を使って仕事を効率化。働きアリの生態が示唆すること

かせぐ

 本記事では、パレートの法則を考えてみます。

事例としてアリの生態についての実験結果が示唆することを踏まえ、認知行動学を援用し、その活用法をまとめます。

  • 本質的な20%のことしかやらないことは、自然に反するため長期的に良い結果に結びつかない可能性が高い
  • 非本質的な80%のことは、リスクヘッジと考えられる
  • 仕事を並列化し、優先付けした上で、本質的な20%しかやらないのであれば、リスクヘッジへのシフトも、最大倍速へのシフトも、両方狙える自然な方法と考えられる

パレートの法則

パレートの法則とは、経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した法則です。

全体を構成する20%の要素が、全体の数値大部分を生み出しているという内容です。

80:20の法則とも呼ばれます。

例えば、

売り上げの80%は、全商品のうち20%が生み出している、とか

仕事の成果の80%は、費やした時間の20%が生み出している、とか

いろいろなことがパレートの法則の名のもとに語られています。

この法則は、ほとんど経験則に近いといわれていますが、意外といろいろな見られる現象です。

そのため、何%でもよいのですが、ここでは通説通り20%として説明します。

パレートの法則と同じ意味合いで、「働きアリの法則」があります

働きアリについては、北海道大学で研究されており、実験結果も公開されています。

ここでは、経験則で議論するのではなく、その働きアリの実験結果から、パレートの法則の活用法を考えていきます

アリの生態が示唆すること

パレートの法則と類似のもので、働きアリの法則があります。

パレートの法則が20:80であるのに対し、20:60:20の違いはありますが、概ねあっています。

働きアリの法則では、よく働いているアリ20%、普通に働いているアリ60%、ずっとさぼっているアリ20%で、20:60:20となります。

実験

北海道大学の研究グループの研究意図は以下です。

研究意図
  • アリのような社会を構成する集団では、ほとんど働かない個体が20%存在する
  • このような存在は、集団の生産性を低下させるが、なぜ存在するのか

アリは「反応閾値」と呼ばれる測定可能な情報で、そのアリが働きアリか否かを識別できるようです。

「反応閾値」が低いアリは、働きアリ。

「反応閾値」が高いアリは、なかなか働かない。

その「反応閾値」を用い実験を行っています。

研究グループは、8集団(1集団150匹)のアリの行動を1か月以上観察、およびコンピュータによるシミュレーションを駆使し実験しました。

実験結果です。

実験結果
  • 働きアリだけの集団は一斉に疲労がたまり、集団が維持できなくなる
  • 働かないアリがいる集団は、働きアリが疲れると、働かないアリが「交代要員」として働き始めるため、集団がより長く維持できる

パレートの法則の活用法

北海道大学の研究グループは、

「人間の世界でも組織の短期的効率を求めすぎると組織は大きなダメージを受ける。(今回の研究は)このため組織運営に当たり、長期的存続の観点を含めて考えることが重要であることが示された」

として感想を述べていますが、僕は異なる観点で見ていきます。

僕は、人間が社会性を持った意識である点に注目して活用法を考えます。

人間は、「働かない自分」「働き者の自分」のように複数の存在を、意識下でメタ認知できます。

他者すら意識下に存在します。

メタ認知とは、自分を一段上の視点から見る視点のことです。

人間は単体で社会的存在とみなすことができるからです。

考え方を整理することの重要性

まずは、こんなこと考えて意味あるのか、についてです。

どっちみち、全力投球するなら、変わらないじゃない、と思うかもしれません。

しかし、メンタルアカウンティングを考えてみましょう。

お金はお金、価値は変わりません。

しかし、ギャンブルで稼いだお金と、仕事で稼いだお金は使う際の重さが異なり、その後の行動が変わります

これは行動経済学での実験で確認されています。

同じように、人間のリソースをどのような考え方で使うかによって、その後の行動が変わってきます。

そのため、考え方を整理することで、行動を改善できる可能性が高まります。

活用法①(本質的な20%のみ実施すれば5倍速)

よく事業や投資の成功者によって語られることは、

「パレートの法則で、本質的なことは20%しかないのだから、20%のことしかやらない。そうすると5倍のことができる」

というものです。

しかし、働きアリの実験結果から、このような個体は長続きしない可能性が高いことが示唆されます

もちろん、優秀な方にはこのような方法を行うこともできるかと思いますが、凡庸な僕には無理です。

活用法②(残りの80%にも重要な意味がある=1倍速)

本質的でないとされた80%の部分、普通のアリとほとんど働かないアリは無駄なのか、ということも考える必要があると思います。

実験結果からは、ある種のリスクヘッジとしての「働かないアリ」の存在が示唆されます。

自己を1つの「社会的集団」として考察していますので、自己の危機において、この80%は寄与する可能性があります。

何もしない「ぼー」とした時間も大切ということです。

ですが、リスク許容度が高い人は、これでは満足しないでしょう

活用法③(本質的20%のみを行うが、最優先20%を明確化)

最適解は以下ではないでしょうか。

  1. 複数の仕事を並列化する
  2. 並列化した複数の仕事に優先度をつける
  3. 並列化した複数の仕事では本質的な20%のことしかやらない

まず、複数の仕事を並列化し、優先度をつけます。

たとえば

  • 優先度1:本業(タスクA)
  • 優先度2:投資
  • 優先度3:副業
  • 優先度4:本業(タスクB)
  • 優先度5:本業(タスクC)

ここで、優先度1から順に本質的20%のみを実施していきます。

優先度1本質的20%が終わったら、優先度2のように。

これであれば、働きアリの実験結果に無理なく即した活用ができます。

自己の危機に直面しそうな場合は、優先度5をやめることで、非本質的20%の「働かないアリ」を無理なく、復活させることができます。

まとめ

パレートの法則は、経験則的な側面が多いものの、ひろく自然現象にもみられるものです。

自然に反して無理をしても、長期的には良い結果には結びつきません。

自然に即し、かつ最適化された解としてこのようなパレートの法則の活用法はいかがでしょうか?

  • 本質的な20%のことしかやらないことは、自然に反するため長期的に良い結果に結びつかない可能性が高い
  • 非本質的な80%のことは、リスクヘッジと考えられる
  • 仕事を並列化し、優先付けした上で、本質的な20%しかやらないのであれば、リスクヘッジへのシフトも、最大倍速へのシフトも、両方狙える自然な方法と考えられる

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