五輪書火の巻。心理を制して投資で勝つ。投資家風に意訳して学ぶ。

かせぐ

剣豪、宮本武蔵は戦いにおける心理の深い分析家でした。

彼が著した五輪書から、投資に活用できる心理的なテクニックを学びます。

皆さんの投資において参考となればうれしいです。

はじめに

五輪の書とは

五輪書とは、剣豪、宮本武蔵の著した兵法書です。

剣術の奥義をまとめたものですが、「人生の指南書」「ビジネス書」としても広く読まれています。

剣豪として名をはせた宮本武蔵ですが、戦いにおける心理を重視しているのが特徴です。

相手の心理をどう読み、どう行動すべきか

そういう意味で「心理学の参考書」といわれることもあります。

投資家意訳『火の巻』

五輪書は、地・水・火・風・空の5巻で構成されています。

ここでは火の巻について、投資家風の意訳を試みました。

火の巻は、戦いにおける心理的なテクニックについてまとめた巻です。

なるべく私見は避け、原文の意を汲む形で意訳することを心がけています。

とはいえ、火の巻に含まれる内容のうち、相手との双方向のインタラクションにおける条については、投資においては活用が難しいので、省略しました。

本記事では、火の巻の以下の黄色でマークした条について、意訳しています。

少しでも、偉大な兵法家の息遣いが伝われば幸いです。

火の巻意訳

場の次第

相場の地合いを見分けるということ。相場のトレンドに乗ることが一番重要だ。もし、トレンドに反する値動きとなった場合、自分が得意な投資手法が生かせる形を待つんだ。

「敵を見下ろす」ように、将来のチャートをイメージするんだ。

場中では、テクニカル的な節目にチャートを追い込むんだ。節目まで待つことが肝要だ。

トレンドフォロー、もみ合い、押し目の局面、いずれにしても、地合いの特徴を活かして、相場で勝ちを得るという心に集中して、よくよく観察して技術を磨くんだ。

三つの先

1つ目は、相場が動く前にこちらから仕掛ける先、これを「懸の先」という。2つ目は相場が動いたときの先、これを「待の先」という。3つ目は、相場も動きこちらも仕掛けたときの先、これを「対対の先」という。

資金を投入する場合、この3つ以外に先はない。先のやり方によって素早く有利なポジションを得ることができるため、これが投資で第一に重視すべきだ。

第一、「懸の先」。相場が動く局面までゆっくりと資金を温存し、一気に投入する。しっかりと相場感を持ち、動じない心で迅速に行うこと。

第二、「待の先」。相場の動きに動じず、こちらの想定している地合いになった際、作戦を素早く実行する。相場の転換点で勝ちを得るんだ。

第三、「対対の先」。相場の値動きに合わせ、柔軟に動くんだ。相場が弱いときは逆張り、強い時は順張りで動きを制するんだ。

相場の地合いによるものではあるが、できるならば自分から仕掛けることで相場を制御したいところだ。

枕を押さえる

「枕を押さえる」とは、頭を上げさせない、ということだ。

相場が動く前に、予兆を読取りポジションを整理するんだ。

日々のどうでもよい値動きにはついていかず、重要な局面で後手に回らないように相場の動きをポジションの大小で制御するんだ。

渡を越す

海を渡るとき、40里・50里といった長い海路を越えることを「渡」という。

人生においても、「渡を越す」という局面は多いと思う。

船の性能を把握し、風向きや日和を理解し、時としては自分でオールを漕いで難所を凌ぐ、あらゆる思慮を尽くして港を目指すだろう。

相場においても、相場の地合いを把握し、自分の技術を理解し、最適な手法で「渡を越す」ことが大切だ。

しっかりとしたマインドをもって相場に臨むこと。

景気を知る

大人数の合戦においても、相場においても、ファンダメンタルズの強弱を知り、センチメントを把握し、テクニカル的な水準を理解して、どのようにポジションを組むかが重要だ。

これをしっかりと心にとめれば勝てると信じて、「先」をとって投資するんだ。

知恵を絞れば必ず理合いは見えてくる。工夫するんだ。

剣を踏む

相場が動いた後に仕掛ければ、ドタバタとはかがゆかない。

相場が上昇する様を剣のように見なして、その剣を足で踏みつけるような心で相場に乗るんだ。

これは、物事の先の心。

相場の動きにぶつかるイメージではなく、即座に動いた後に乗るイメージで踏むんだ。

崩れを知る

相場が崩れる気配を捉え、相場が態勢を立て直す前に一気に打ちのめすんだ。

敵に成る

「敵に成る」とは、自分が相場そのものになったつもりで考えるということだ。

自分が不利と思い込んでいても、相場から見たら、とても有利なポジションを持っていることも多い。

自分の利害関係ではなく、相場そのもの、もしくは相場の勝利者の視点で論理を考えるんだ。

四手を放す

「四つ手を放す」とは、相手、つまり相場のセンチメントと同じ気持ちで張り合うようなやり方ではいけない、ということだ。

張り合うのではなく、別の視点で手法を考えるべきだ。

相場のセンチメントと張り合うような心になった場合、気持ちを変えて相場を見直し、別の理合いで勝つことを考えることが肝要だ。

三つの声

「三つの声」とは、合戦において、序盤、中盤、終盤でその局面において、発する声を変えるということだ。声は勢い・力となる。

相場においても、エントリー序盤、中盤、出口、それぞれの局面においてマインドは変えるべきだ。

山海の替わり

「山海の替わり」とは、トレードのなかで同じことを繰り返すことは危険だということだ。

2度はやむを得ないが、3度はダメだ。

1度仕掛けてダメになったとき、もう1つ仕掛けて効果がなかったならば、全く別の手法でトレードすべきだ。

敵、山と思はば海と仕懸け、海と思はば山と仕懸くる心、兵法の道なり

出所『五輪書』火の巻

新に成る

「新に成る」ということは、もみ合いになって、はかがゆかない場合、気持ちを変えろということだ。

新しく始めるマインドでリズムを捉えなおし、そこに理合いを発見することが勝つためには重要だ。

鼠頭午首

「鼠頭午首」とは、ネズミのように小さく細かなこと気にすることから、牛のように大きく広い視点でとらえなおす、ということだ。

相場で、細かいことが気になり始めたら、一旦、気持ちを変えて、大きな視点でとらえなおすことが肝要だ。

将卒を知る

自分は将軍であって、相場は兵卒であるという心をもって相場に臨むべきだ。

敵を自由に廻さむと思ふところ、われは将なり、敵は卒なり。

出所『五輪書』火の巻

束を放す

「束を放す」とは、太刀を使わず勝つ方法もあり、太刀を使って勝たない方法もあるということ。

相場においても、トレードしないことで勝つ方法もあり、トレードすることで勝てない局面もあるということ。

ここは言語化が難しい。経験と訓練あるのみだ。

巌の身

「巌の身」とは、兵法を修得して、瞬時に巌のように大きく、どんな地合いでも負けず、動じないこころだ。

ちょっと、こいつは口伝でしか伝えることができないな。

まとめ

本記事では、剣豪宮本武蔵の五輪書(火の巻)の投資家風意訳をまとめました。

なるべく原文に即して私見を可能な限り排除して意訳しました。

相場でもビジネスでも、究極的には対人的な心理戦です。

少しでも皆さんの投資、ビジネスに活用できれば幸いです。

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