相関関係としての投資アノマリーの合理性。相関関係と因果関係との違い

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投資アノマリーというと、いかがわしい怪しい都市伝説のように思っている方も多いと思います。

しかし、株式やFXなどの金融資産には、それぞれ固有の多くのアノマリーがあり、多くの投資家の参考とされてます。

正確な理由は不明ですが、なぜかいつもそのように相場が動く、という意味でアノマリーと呼ばれています。

本記事では、相関関係という視点からスタートして、アノマリーの合理性について考えていきます。

  • 相関関係と因果関係とは異なる
  • アノマリーは相関関係という合理的な存在理由がある
  • 多数の投資家に意識されることで相関関係がより強化されていく

相関関係

まず、相関関係とは何か明確化していきます。

相関とは

「相関」とは、一方が変化した際、他方もある程度相互に規則的に変化する関係のことです。

たとえば、

「親の身長が高いほうが子供の身長も高い」

「勉強時間が長いほうがテストの成績も上がる」

などです。

相関関係と因果関係

注意すべきは、相関関係と因果関係との関係です。

相関関係は、「原因」と「結果」の関係ではありません。

相関関係は、因果関係を含んでいません。

因果関係がある場合は、必ず相関関係があると言えますが、

相関関係があるからといって、因果関係があることは言えません。

「相関関係は因果関係を証明する」ということは誤りであるということです。

疑似相関

ここで関連するものとして、認知バイアスである「疑似相関」について説明します。

疑似相関とは、直接的な関連がない2つの事象を、それぞれと関連する第3の要因の存在に気付かずに、因果関係があるように考えてしまうことを言います。

たとえば、

「アイスクリームの売上が上がると、プールでの事故件数が増える」

「風が吹けば桶屋が喜ぶ」

など。

現実の事象では非常に判断が難しいものも多いので注意が必要です。

アノマリーの合理性

概念の定義から、「投資アノマリーと相場は相関関係がある」という言明は合理的な言明であることが理解できます。

次に、投資アノマリーを見る際に、留意すべき点がないか考察し、どのような意味で合理的なのかを考察していきます。

投資アノマリーの成立過程(誤った因果関係や疑似相関は淘汰される)

投資アノマリーがどのように成立したかを考えてみます。

投資アノマリーは以下のような投資判断にもとづき、多くの投資家共通の成功体験があったものと推測できます。

  1. まことしやかに語られた因果関係にもとづいたもの
  2. 統計的に相関関係が確認されたもの

(1)の誤った因果関係は、時間とともに否定され、合理的な相関関係がない場合は、投資アノマリーはあまり語られることはなくなっていきます。

(2)の相関関係が、疑似相関によるものだった場合も、同様に語られることは少なくなっていきます。

一方、合理的な相関関係があるものに関しては、投資アノマリーとして語られ続けることになります。

相場においては、より多くの投資家が考える方向に価格は流れます。

成功経験として語られる投資アノマリーは、徐々により多くの投資家の成功体験を生み出し、定着したものと考えられます。

したがって、疑似相関である可能性は残るものの、長く語られる投資アノマリーについては、相場と相関関係がある可能性が高いと考えられます。

相関関係の賞味期限

因果関係は、原因の発生条件がわかれば、結果は予測可能です。

投資アノマリーは、因果関係ではないため、どのような場合に成立するかは予測はできません。

そのため、投資アノマリーの相関関係は、常に成立するか否かは不明です。

特定期間の投資環境のみで成立するかもしれません。

つまり、投資アノマリーには賞味期限がある可能性があります

投資アノマリーの合理性

まとめると、投資アノマリーは以下に留意することで、合理的に使用できる相関関係であると考えられます。

  • 長く語られる投資アノマリーは、相場と相関関係がある可能性が高いが、疑似相関の可能性は残る
  • 投資アノマリーの賞味期限がある可能性あり

「じゃあやっぱり怪しくて使えない」と思う方もいると思います。

では、明確な因果関係がある場合は「使える」のか、考えてみます。

相場は、仕組み上、敗者がいることで、初めて成立します。

投資で損する人がいて、儲ける人が生まれます。

もちろん、明確な因果関係(論理的に必然、または数学的に正しい)があれば、「より多く」は獲得できます。

しかし、虚実の間を進むのが相場。

「より多く」が損すれば、少数は大きく利益を確保することができます。

つまり、相場の動きは、短期的には因果関係で動くとは限らないということです。

むしろ、因果関係(のようにみえるもの)のほうが警戒すべきであり、真っ先に疑うべきものです。

この意味で、投資アノマリーは明確な因果関係がある場合と、短期的な確からしさ大差ないと思います。

まとめ

本記事では、投資アノマリーと相場の相関関係について考察しました。

  • 相関関係と因果関係とは異なる
  • アノマリーは相関関係という合理的な存在理由がある
  • 多数の投資家に意識されることで相関関係がより強化されていく

相場においては、より多くの投資家が考える方向に価格は流れます。

僕たちは、その「より多くの」を何かの手段でとらえ、投資を行う必要があります。

短期的には、正しいか否かが重要ではなく、最大多数がどのような判断を行うかを分析することが重要です。

相場はひとつの人格であり、間違いもするし正しいこともする。嘘もつく。

そういう意味で、投資アノマリーも投資の検討材料として活用すべきではないかと思います。

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