仕事や投資で、もういやになる局面は多々あります。
また、特に体調は悪くないのに、どうしても行動できない、効率が上がらない、そんなことも往々にしてあります。
そんなときは、メンタルを回復する必要があります。
さらに、常に強靭な鋼のメンタルを持っていれば、仕事も投資ももっとうまくいきます。
本記事では、実際に運用していた、自衛隊でのメンタルヘルスの手法に即して、メンタル強化についてまとめます。
- メンタルには、エネルギー・自信・不安の3つの要素が重要
- メンタル強化には、OODAループを活用したプロセスが有効
- 止まらず行動しながら強化を図ることが重要
強いメンタルが必要な理由
社会変化とメンタル力低下の影響
情報氾濫が叫ばれてもうかなり立ちました。
僕たちは、常に刺激に囲まれ、ストレスを与えられた環境で暮らしています。
電車を待つ時間はスマホ、会社ではPCと上司からの叱責、帰宅するとテレビにスマホと、休む間もなくストレスを与えられています。
特に体調が悪いわけではないのに、仕事で、やる気が出ない、ミスが多い、という場合はメンタルが弱っている可能性が高いです。
また、投資においては、硬い決意で始めたはずのインデクス投資をやめたり、一か八かの投機的な行動に走ってしまいます。
高騰に舞い上がって過剰なリスクを抱えることも、メンタルの弱さに起因します。
体調が悪いわけではないため、人には理解してもらえず、休む理由も見いだせないため、悶々と負のループに陥ってしまいます。
『心をリセットする技術』
ここでは、下園壮太氏の『心をリセットする技術』を参考に、メンタル強化の方法をまとめます。
著者の下園壮太氏は、陸上自衛隊でメンタルヘルス全般にわたり、指揮官をサポートする「心理幹部」として勤務した方です。
陸上自衛隊で、メンタルヘルス、うつ・自殺防止対策、惨事ストレス対処、カウンセリング技術などを指導し、退職までにおよそ200人の心理幹部要員を育成しています。
<PR>
自衛隊メンタル教官が教える心をリセットする技術 (青春新書インテリジェンス) [ 下園壮太 ] 価格:1,144円 |
メンタルを弱める3つの要素
メンタル力の重要な要素は3つあります。
- エネルギー
- 自信
- 不安
エネルギー
一番重要なことは、エネルギー、つまり、心と体の体力です。
ひとは、何か運動することで身体が疲労し、何か判断することでこころが疲労していきます。
つまり、こころと身体のいずれかを使うことで、自然とエネルギーは低下していきます。
自信
自分が困難を乗り越え生きていくことができるという感覚です。
過去の実績に起因する自信。
自ら感じる潜在能力に起因する自信。
家族や愛する人々がいる自信。
など、さまざまな要因に支えられています。
不安
自分に降りかかるであろう悪い事態に対する、自己防衛的な感情です。
ひとは、原因が明確なものより、曖昧なもの、理解できないものに強く不安を覚えます。
メンタル強化のポイント
メンタル強化には、この3つの要素を日常的にケアしていく必要があります。
エネルギーのケア
心と体の疲労のケアが最も重要です。
軍隊組織では、冷徹なくらい、疲労のコントロールを優先するそうです。
そのケアの方法はずばり「睡眠をとること」です。
休憩する場合は、人や仕事からも距離を置き、SNSなどのストレスを与えるすべての要因から離れることが効果的です。
「自信」のケア
次に重要なことは、「自信」のケアです。
自分が困難を乗り越え生きていくことができるという感覚は、「自己イメージ」に起因して起こる感覚です。
自分が直面する「課題イメージ」に対する、相対的な「自己イメージ」の強さです。
「自己イメージ」が小さくなると、同じ課題であっても「課題イメージ」がより大きく見えます。
「自信」はひとつのイメージに過ぎません。
つまり、「自己イメージ」は、自分の過去や実績・環境から生じたひとつの物語と言えます。
「自己イメージ」のケアは、自分に対する新しい物語の構築を意味します。
不安のケア
最後は、「不安」のケアです。
不安がつのると、つい将来や過去のことばかり考え、感情を伴いながらネガティブで防衛的な仮想現実を構築します。
ケアの方法は、ずばり「呼吸すること」です。
補助的な方法としては、目先のちいさな楽しいことに集中することも有効です。
PDCAよりもOODAループが有効
メンタル力を強化するために3つの要素をケアする方法について述べました。
メンタル強化という意味では、これを定期的に行う必要があります。
このために、OODAループが有効です。
OODAループとは
OODA(ウーダ)とは、「観察」「判断」「決定」「実行」という4つのプロセスで構成された意思決定メソッドです。
各々のプロセスの頭文字「Observe(観察)」「Orient(状況判断、方向付け)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」を取って「ウーダ」と読みます。
4つのプロセス「観察」「判断」「決定」「実行」を繰り返すことを「OODAループ」と言います。
OODAは、1970年代のアメリカ空軍の戦闘機パイロットであったジョン・ボイドが提唱した空軍戦術が発祥とのことです。
OODAループによって、戦況を優位に進められた戦術が注目を集め、さまざまな分野で応用されるようになっています。
OODAのメリット
OODAのメリットは、変化が激しい状況下でのスピーディーな意思決定です。
OODAループを常に実行することで、試行錯誤する習慣が身に付きます。
OODAのデメリット
OODAは、中長期的な改善やプロセスが決まっている作業には不向きです。
また、「計画」や「評価」のフェーズがないため、判断が必ずしもベストとは言えないケースもあります。
そのため、中長期的な改善が目的の場合は、結果をフィードバックしながら改善していくPDCAの方が向いています。
PDCAとOODAの違い
PDCAは業務改善が目的で、OODAは意志決定が目的である点が大きな違いです。
業務改善や中長期的な改善が目的の場合は、結果を確認しながら改善を繰り返すPDCAの方が適しているといわれています。
メンタル強化の4つのステップ
メンタルを強化するためには、定期的に繰り返し以下の4ステップを実施することが重要です。
- エネルギーケア
- 判断する時期を決める
- 新しい物語作り
- 少し行動、しっかり観察
エネルギーケア
ここまで述べたように、まずはエネルギーを十分な状態にしましょう。
運動で基礎体力をつけることも重要です。
判断する時期を決める
自信を失っていたり、不安に取りつかれている場合を想定し、何かの判断が必要な場合は、判断する時期を決めましょう。
判断までの一定期間、時間をあけましょう。
それにより冷静に次のステップを行うことができます。
新しい物語つくり(自信のケア)
環境の変化に合わせて、これまでの「自己イメージ」を見直しましょう。
新しい物語を作り出すことができれば、「自己イメージ」の強化につながり、結果的にメンタル強化につながります。
少し行動、しっかり観察(OODAループ)
見直した物語に従って、少しずつ「自己イメージ」を強化していきましょう。
OODAループを使って、環境と合わないことがあれば、補正しながらプラスの「自己イメージ」を定着させていきましょう。
まとめ
仕事にも投資にも、鋼のメンタルを持ったひとは成功確率が格段に向上します。
成功体験・失敗体験を積み上げることも重要ですが、メンタル強化の3つの要素を効率的に鍛える方法として本記事の内容もやってみる価値があるかと思います。
参考になれば幸いです。
- メンタルには、エネルギー・自信・不安の3つの要素が重要
- メンタル強化には、OODAループを活用したプロセスが有効
- 止まらず行動しながら強化を図ることが重要
コメント